犬の噛み癖は、飼い主さんの約3割が悩んでいるという調査結果があるほど、よくある問題行動です。
今まで甘噛みを放っておいたけど、ここ最近唸って噛むようになってきたから心配
そんな飼い主さんも多いのではないでしょうか?
甘噛みであればまだしも、本気噛みになったら大変ですよね。
「散歩中に他の人を噛んでしまったら」と考えると、どうしても直しておきたい問題行動のひとつでしょう。
そこで今回は、犬が噛んだときの対処方法と犬が噛む理由についてお話ししていきます。
今回の記事でわかること
- 犬が甘噛みするメリット・デメリット
- 犬が噛む5つの理由
- 犬が噛んだときの7つの対処方法
犬の噛み癖を理解しよう
犬の噛み癖は、人の集団生活において非常に厄介な問題行動のひとつです。
ですが犬にとって噛み癖は、問題行動なのでしょうか?
犬の噛み癖をどうにかしたいとき、何より重要なことは「犬の噛み癖を理解する」ことです。
そこで噛み癖を理解するためにも、下のポイントはぜひ、おさえておいてくださいね!
- 犬が噛むのは普通のこと
- 犬が感じる甘噛みのメリット
- 犬が甘噛みするデメリット
犬が噛むのは普通のこと
犬にとって噛むという行為は、問題行動でもなくごく普通のことです。
人でいう会話のように、コミュニケーションのひとつといえます。
例えば「遊ぼうよ!」「触らないで!」「ねぇねぇ、構って」など意思表示をしているのです。
人にとっては問題行動ですが、犬にとって噛む行為は問題行動ではなく大切なジェスチャーなんですよ。
犬が感じる甘噛みのメリット
犬にとって甘噛みをするメリットが5つあります。
- 顎の強化
- 乳歯から永久歯への生え代わりの手助け
- コミュニケーションツール
- 脳を活性化させる
- 犬同士のしつけ
犬は色々なものを噛むことで顎を強化し、感触を楽しみながら脳を活性化させます。
人間の赤ちゃんが「口のなかになんでも入れてしまう」のと同じようなイメージかもしれません。
また意思表示に使ったり「これくらいなら噛んでも痛くない」というのを親犬が教えてあげたりするのにも甘噛みは使われています。
犬が甘噛みするデメリット
犬にとってメリットがある甘噛みですが、ほおっておくとデメリットがどんどんでてきます。
例えば、以下のようなデメリットがでてくるでしょう。
- 主従関係が逆転しやすい
- 家具を破壊する
- 人への危害の増加
- グルーミング(耳掃除や爪切りなど)が困難になる
- 噛み癖防止に使う口輪やエリザベスカラーは犬にとって大きなストレスになる
犬が「僕(私)のほうが偉い!」と思い込み、主従関係が逆転すると非常に厄介です。
甘噛みから本気噛みにかわり、家族以外の人にも危害を加える恐れがあります。
犬が本気で人の手を噛むとどうなるかご存じですか?
トリマー時代に小型犬に本気で噛まれたとき、実は手が貫通したことがあるんです。
それくらい犬の噛む力は大きいのを知っておきましょう。
そのため、爪切りやカット・シャンプーなど日頃のお手入れができなくなることもあります。
実際噛み癖がひどくトリミングサロンでも断られ、動物病院にカットしにくる犬もいるほどです。
さらにその犬が高齢犬の場合、興奮しすぎてチアノーゼ(酸欠)になりお手入れができなくなることもあります。
将来のことを考えると、甘噛みはのちのち大きな問題になることがあるので、かわいいからとそのままにするのは危険です。
犬が噛む5つの理由
犬は、理由がなく噛むことはありません。
場合によっては、あなたに伝えたいことがあり、意思表示として噛んでいることもあるのです。
そこで、主に犬が噛む理由を5つ紹介します。
それでは順番に説明しますね。
怖がり
いちばんわかりやすいのは、恐怖を感じて噛む場合でしょう。
恐怖で、自分の身を守ろうと噛んでしまうのです。
例えば、以下のシチュエーションで噛む場合は怖がっているからといえます。
- 背後から急に撫でられた
- 初めて見る子どもが駆け寄ってきて触ろうとした
- 以前、怒られたときに叩かれた
犬の知能レベルは、人間の2~3歳ともいわれています。
もしも、上記のシチュエーションに置かれた犬が人間の子どもだったら、どのような反応をすると思いますか?
「急に何!やめてよ!」など声をあげて怖がりませんか?
そして犬は噛む動作によって、相手に【怖いからやめてほしい】と気持ちを表現するのです。
ストレスや欲求不満
犬は、ストレスが溜まっていたり欲求不満になったりしていると噛むことがあります。
理由は、やり場のないストレスを解消したいからです。
犬はもともと群れて行動する動物なので、コミュニケーション能力はとても高いのが特徴です。
しかし相手との距離が近すぎたり遠すぎたりすると、ストレスに感じます。
例えば、飼い主さんが仕事で留守がちになり構ってあげないと、犬はストレスを感じるでしょう。
また、犬は走って遊ぶことで欲求を満たしています。
散歩に行かなかったり散歩の時間が短かったりすると運動不足となり、欲求を満たすために噛む行動へとつながっていくのです。
犬の本能
犬は本能で噛んでしまうことがあります。
かわいいワンちゃんであっても、犬は動物ですので本能に任せて行動することもあるからです。
犬社会は、上下関係で成り立っていることは知っていますか?
家族の中で「パパが上、でもママは僕(私)の下」という風に、犬は勝手に順位を付けています。
順位が下の人に対して、犬はいうことを聞かなくなるのです。
また狩りに出ていた狩猟犬や戦うための闘犬は、もともと噛みやすい犬種といえるため、しつけを怠ってはいけません。
狩猟犬と闘犬はこのような犬種がいますよ。
- シュナウザー
- ウエストハイランドホワイトテリア
- ジャックラッセルテリア
- ブルテリア
- 土佐犬
- アメリカンピットブルなど
もちろん、この犬種だから噛むというわけではありません。
ですが本能で噛みやすい犬種こそ、噛み癖をそのままにしておくと本気で噛むようになり、取り返しがつかなくなることは理解しておきましょう。
病気やけが
犬は病気やけがをしているとき、噛んでしまうことがあります。
理由は痛いから触らないで欲しかったり、かゆくてしきりに患部を噛んだりするからです。
例えばダックスフンドに多い椎間板ヘルニアや小型犬に多い膝蓋骨脱臼・外耳炎・皮膚疾患・てんかんなどの脳の疾患などさまざまです。
急に触るだけで噛むようになったら、念のため動物病院で見てもらった方が安心です。
歯がかゆい
子犬は歯がかゆいと、噛み癖がひどくなります。
そのため、犬は歯が生え変わる時期になると歯がかゆくなるため、噛み癖がひどくなるのです。
実は犬は人と同じで、乳歯から永久歯に生え変わります。
7~8カ月頃は歯の生え変わりでムズムズして、噛みたい欲求に負けてしまうのです。
そうは言っても、家具を噛まれるのはとても厄介ですよね。
乳歯はとても細いから、噛まれると痛くて大変です。
子犬だからかわいいと思って、手を噛ませていると甘噛みが日常化します。
日常的に噛ませていると、歯が生え変わっても噛み続けることがあるので早めの対処が必要です。
犬の噛み癖に対処する7つの方法
犬の噛み癖をそのままにしておくと、一緒に生活していくことに辛さを感じでしまうかもしれません。
そこで、犬の噛み癖を対処する7つの方法を紹介します。
どんなワンちゃんでも対処法が合うわけではありませんが、一度試してみてくださいね。
環境を整えよう
家具やクッションなどを噛むのであれば、環境を整えるのがいちばんです。
なぜかというと、噛む対象のものが犬の目の前にいなければ噛めないからです。
もし噛む対象のものを片付けて生活に支障がないのであれば、思い切ってなくしましょう。
家具や物をいちばん多く噛む時期は、歯がかゆい幼少期。
この時期だけでも、なくしてしまうとよいかもしれません。
椅子のあしを噛むなら、カバーをかけたりするのも効果があるので試してみてくださいね。
冷静に低く短く叱る
犬が噛んだら騒がず、冷静に低い声・短い言葉で叱ります。
犬が噛むのは悪いことだと、いちばん理解しやすい𠮟り方なのです。
あなたが「痛い!」とリアクションをとると、犬は遊んでもらっていると思い、もっと噛んでくるかもしれません。
犬に「わたしは怒っているんだよ」ということを理解させるためにも、冷静に低い声で短く叱るのがポイントです。
特に女性の方は声が高いので、これでもか!というくらい低い声で叱りましょう。
また長い言葉で叱っても、犬は理解しません。
「NO」「ダメ」「いけない」など短い言葉で叱ると、犬が理解できるので試してみてください。
タイムアウト
犬の噛み癖の対処方法にタイムアウトというものがあります。
噛み癖においてのタイムアウトとは「噛んだらリアクションも何も取らず、そのまま部屋からでていく行為」ですが、遊びの延長で噛んでしまったときに行うことで、より効果を高められます。
リアクションを取らず無言で出ていくのは大変ですが、噛み癖に対して効果を感じられることは多いですよ。
驚かせて褒める
犬が噛んだら大きな音を出して驚かせ、口を離したらすぐ褒めるのも効果的です。
噛むと大きな音が出て嫌なことが起こるけれど、やめれば褒められると理解できるからです。
このとき大きな声ではなく、物を投げて音を鳴らした方がよいですよ。
例えば、缶やペットボトルに石などを入れ、投げて音を鳴らすのもよいでしょう。
大きな声をだすと、あなたのことを怖がるようになる恐れがあります。
あえてあなたが出した音ではなく、噛むと鳴る大きな音と思い込ませるのです。
また、褒めるタイミングは口を離した瞬間です。
何度も繰り返していくうちに、あなたのワンちゃんも噛まなくなっていきますよ。
ケージを安全地帯にする
犬が怖がって噛む前に、ケージにいれてしまうのもよいでしょう。
怖いときはケージに入っていれば安心だと、犬が感じてくれればベストです。
安心する場所があれば、犬はストレスもなくなり怖がること自体を未然に防げますからね。
ストレス解消をさせる
噛むおもちゃなどでストレス発散させてあげるのも効果的です。
このとき常におもちゃを与えるのではなく、あなた主導で一緒に遊ぶのがポイントです。
例えばロープで引っ張り合いをするなら、あなたは極力負けてはいけません。
理由は遊びのなかで、主従関係が逆転しかねないからです。
遊びを止めるのも、犬がまだ楽しんでいるところで止めましょう。
そうすることで、上下関係もしっかりついてくるはずです。
噛むよりも良いことを覚えさせる
噛むよりも、もっと楽しいことや良いことを覚えさせましょう。
そうすると、もっと楽しいことをどんどんやりたくなるからです。
例えばスキンシップや遊び・おやつなどです。
噛まれると良いことがなくなり、噛まなければ楽しいことがたくさん起こると犬が理解すれば、徐々に噛み癖が直っていくでしょう。
噛み癖をよりひどくさせるしつけ方
噛み癖をより強くするしつけ方が2つあります。
1つ目はたたくなどの体罰でしつける方法、2つ目は、家族でバラバラのしつけ方をすることです。
体罰は恐怖につながり、より犬が凶暴になりかねません。
また家族がバラバラのしつけ方をしていると、しつけをしている意味がなくなります。
統一していないと犬が理解できなくなるからです。
とはいっても、噛み癖のしつけはとても難しいのが現状です。
噛み癖は人に危害を加えかねない重大な問題行動なので、そのままにしておくのは絶対にやめてくださいね。
対処法を試してもうまくしつけられない場合は、早めに専門家の力を借りることも考えましょう。
犬の噛み癖を直して楽しい毎日にしよう
今回は犬の噛み癖についてお伝えしてきました。
この記事でわかったこと
- 甘噛みは犬にとってメリットがあるが、人と生活するにあたってはデメリットが多い
- 犬が人や物を噛むことは普通であり、噛むことで意思表示をしている
- 犬がなぜ噛んでいるのか知り、適切な対処をすることが重要なポイント
- 犬の噛み癖は重大な問題に発展する可能性があるため、しっかりとしたしつけが必要
- 噛み癖が治らない場合、早めに専門家の力を借りることも考える
犬が噛む理由は、この5つです。
犬は噛むことによって、あなたに意思表示をしています。
その気持ちをしっかり読み取って、適切な対処をしてあげないといけません。
対処方法は7つ紹介しました。
犬の噛み癖はとても厄介で、周りの人を怪我させてしまうかもしれません。
そうなってからでは、もう遅いですよね。
今から家族みんなで対処法を取り組んでみてくださいね。
もし家族で解決できなさそうなら、専門家の力を借りることも考えましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!