うちの子、何度もボールを持ってきては「投げて!」と、せがむのよね。なかなか休んでくれなくて困る。
散歩のときに他の犬に吠えて興奮しだすと、落ち着かせるのが大変なんだよね……。
ワンちゃんが元気すぎて、ずっと遊び続けてしまう、一度興奮してしまうとおさまらない、という悩みはありませんか?
元気いっぱいで可愛い子犬の時期はずっと遊んであげたくなりますが、すべての要求に答えるのも大変ですよね。
興奮する癖がついてしまうと、いざというときに飼い主さんの声が届かず、ワンちゃんが危険にさらされることもあります。
子犬を落ち着かせる方法を知れば、安全に過ごすことができて健やかな成長にも繋がりますよ。
この記事では元気すぎる子犬を落ち着かせるために、理由や状況に合わせたアドバイス、しつけのポイントについて解説しています。
元気すぎる子犬に振り回されずに、落ち着いたワンちゃんとの生活を目指す方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 子犬が元気すぎる理由
- 子犬が元気すぎるときのしつけのポイント
- 子犬が元気すぎて困る状況と対策
子犬が元気すぎる理由
大前提として、子犬とは元気すぎるものです。
人間も小さいときは元気いっぱいに走り回って、いつまでも公園で遊び続けられますよね。
子犬の場合では生後2か月から1歳までは生きていくための学習をする時期で、遊びながらさまざまなことを学びます。
1歳を過ぎると、だんだんと噛んだり暴れたりする行動は治まってきます。
元気すぎる子犬と向き合うために、まずは子犬について知識を深めましょう。
子犬の社会化期や興奮しすぎているときの状態について、順番に説明していきますね。
子犬の社会化期
はじめに子犬とは、どの時期までをいうのでしょうか。
子犬は犬種やサイズによって定義が異なります。
- 超小型・小型:10か月
- 中型:12か月
- 大型:15か月
- 超大型:18~24か月
この中でも社会化期と呼ばれる時期が大事です。
社会化期は子犬にとって生きていくためのスキルを学ぶ重要な時期で、さまざまな経験を社会化期に体験できないと問題行動を起こしやすい犬になる傾向があるからです。
社会化期は、以下のように2つに分けられます。
第一社会化期 | 生後3週間~2か月 | 母親犬や兄弟たちと過ごしながら犬社会のルールを学ぶ |
第二社会化期 | 生後2~4か月 | 新しい飼い主さんと生活の中で家のルールを学ぶ時期 |
たいてい子犬が迎え入れるのは生後2カ月過ぎた頃で、第二社会化期に入った頃です。
柔軟に物事を吸収し人間社会の刺激に多く触れることで、子犬は徐々に飼い主さんとの生活に慣れていきます。
子犬は人とともに生活する上で、して良いこと悪いことがまだ分かっていません。
また見るもの触れるものに興味津々で興奮しやすいため、元気すぎる傾向があります。
社会化期ではいろんな経験を子犬にさせて、不安や恐れを抱かせないようにすることが大切ですよ。
子犬が元気すぎることで起こる問題
子犬が元気すぎて興奮すると、心身ともに問題が生じてきます。
以下にあげた状態が見られるときは、気をつけてあげてくださいね。
飛びつく | 首や腰関節に負担がかかり、飛びつかれた方もケガをさせる恐れがある |
激しく吠え続ける | 腹圧が強まり呼吸器や循環器、首、腰などに負担がかかる |
自分のしっぽを追ってぐるぐると走り回る | 精神的に強いストレスがかかっている |
垂直にジャンプする | 関節への負担がかかる |
数回吠える程度や、少し走り回ったりおもちゃを振り回したりする程度であれば問題ありません。
頻繁に見られるなら、興奮させるような接し方をしていないか、ご自身のワンちゃんへの接し方を見直してみましょう。
特に大型犬の子犬は、関節への負担がかかりやすいので気をつけてくださいね。
制止がきかないほど、ワンちゃんを激しく興奮させないようにしましょう。
子犬が元気すぎるときのしつけのポイント
可愛いワンちゃんの遊びの要求に全て答えたいのは山々ですが、飼い主さんの体力も持ちませんし家事など他にもやることがありますよね。
さらに元気すぎて周りが見えなくなっていることで、ワンちゃんを危険にさらす可能性がでてきます。
ワンちゃんを落ち着かせるには子犬の特徴のところでもお話ししたように、よく遊ばせよく眠らせることがポイントです。
ワンちゃんも飼い主さんもより良い生活を送るために、落ち着けるワンちゃんにしましょう。
元気すぎる子犬を落ち着かせるには、次の3つが重要です。
- 子犬を適度に遊ばせる
- 子犬が十分に休める環境を整える
- 普段から興奮させすぎないようにする
それぞれを詳しく解説しますね。
子犬を適度に遊ばせる
元気すぎる子犬は、エネルギーがあり余っている傾向があります。
まずは室内で子犬と遊んで疲れさせましょう。
ここで重要なのが、子犬と遊ぶ時間を決めることです。
時間は飼い主さんの都合で決めてよいのですが、初めは15分位からにしましょう。
室内で遊ばせる方法は、次の3つがあります。
・ボール遊び
・引っ張りっこ遊び
・知育おもちゃを使う
ボール遊びは、たいていのワンちゃんが好きですよね。
噛むと音が鳴るものだと、さらに喜んで遊びますが、興奮しやすい子犬の場合は注意が必要です。
噛んだときに出る音が獲物を捕らえたとき出る獲物の悲鳴を強く連想させ、興奮しすぎてしまうことがあるからです。
引っ張りっこ遊びは、まだ歯が生えそろっていないなら、タオルなど柔らかいものを使うとよいでしょう。
ただし引っ張るときは、水平に優しく引っ張ってくださいね。
真上に引っ張るとワンちゃんの歯に負担がかかって、歯並びが悪くなったり歯が抜けたりしますので気をつけてくださいね。
また引っ張りっこ遊びをしていると、興奮して唸りだすことがあります。
唸りだしたら遊びを中断して、その場から離れましょう。
気持ちが高まりすぎると遊んでもらえないとワンちゃんが理解すれば、自ら落ち着くことを学んでいきますよ。
知育おもちゃは、おやつをおもちゃの中に入れて犬の嗅覚で探し当てるという脳の活性化にもつながる遊びです。
ワンちゃんをひとりで過ごさせるときに最適ですよ。
ご自身のワンちゃんの性格や状況を考えて、おもちゃは選んでくださいね。
外へ連れ出すのも、刺激になるのでおすすめです。
ワクチン接種が全て終わっていないなら、歩かせずに抱いたまま連れ出しましょう。
外のさまざまな音や状況に慣れさせておくと、いざお散歩へ出かけるときにもスムーズに出かけられますよ。
ワクチン接種が終わる4か月前後は第2社会期で警戒心や恐怖心が芽生えてくる時期なので、いきなりお散歩へ出かけると怖がる可能性があるからです。
必要なワクチンの接種が終了したら、外での遊びも加えましょう。
・お散歩
・ドッグラン
お散歩に慣れてきたら、ドックランで他の犬と接することも犬にとっては刺激になります。
お散歩の時間は犬のサイズや時期によっても違いますし、サイズが大きいほど時間は多く確保する必要があります。
ワンちゃんの様子を考慮しながら、以下を目安にして時間を決めてくださいね。
- 小型犬:20~30分
- 中型犬:30分から1時間
- 大型犬:1時間前後
飼い主さんの無理のない範囲で、遊んであげましょう。
ワンちゃんとたくさん遊んだら、次は休ませてあげてくださいね。
子犬が十分に休める環境を整える
たっぷりワンちゃんと遊んだら、ケージに入れて休ませましょう。
初めのうちはケージに入れたときに出してほしくて、鳴いたり吠えたりすると思います。
しかしここで重要なことは、決して応じないことです。
出してほしいという要求に応えてしまうと、出してもらえるまで吠えるようになってしまいます。
ケージの中にはひとりで遊べるおもちゃや知育おもちゃなどを入れて、ひとりで過ごせるようにしてあげましょう。
ケージに入っているときは、飼い主さんとは遊ばないでひとりで過ごす時間なんだということを学ばせます。
ワンちゃんはひとりで遊びながら気ままに過ごすようになり、疲れたらそのまま寝てしまいますよ。
ケージは休む場所として覚えてもらいましょう。
子犬を興奮させすぎないようにする
元気すぎる子犬は、興奮しやすい傾向があります。
普段から「まて」や「おいで」など基本的なしつけを行い、多少興奮してもすぐに落ち着くようにしつけることが重要です。
しかし他の犬と遊んでいるときやお散歩中に、飼い主さんの声が届かないほどワンちゃんが興奮してしまうこともあるでしょう。
元気すぎる子犬を過剰に興奮させないためには、状況に応じて次の3つを行ってください。
- 興奮しやすい場面を理解して、事前に避ける
- 徐々に慣れさせる
- 無視する
まずは、どのような場面でワンちゃんが興奮するかを見定めましょう。
避けられるものは、犬が気づく前に避けてください。
例えばお散歩中に他の犬に吠えるなら、ワンちゃんが気づく前に方向転換してルートを変更して回避します。
原因を避けることが難しい場合は、徐々に慣れさせましょう。
インターホンが鳴ると吠えて騒ぐなら、ご家族やお友達に協力してもらうとよいですよ。
協力者に外からインターホンを押して鳴らしてもらい、室内ではワンちゃんに「まて」などをさせることを繰り返せば、落ち着いて来客を出迎えられるようになります。
帰宅時にワンちゃんが喜んで飛びついてくるときは、心を鬼にして無視するという対応も効果的です。
ワンちゃんが喜ぶ姿につい構いたくなると思いますが、構ってしまうとワンちゃんは飼い主さんが喜んでいる、遊んでくれていると勘違いして悪い習慣を植えつけてしまいます。
ワンちゃんが落ち着いてから、構ってあげましょう。
また、お留守番をケージで過ごさせるようにするとよいですね。
子犬のときから「ケージ=休む場所」という癖をつけておくと、ワンちゃんの生活にメリハリがついて精神的に落ち着くようになりますよ。
元気すぎる子犬には、いかに落ち着くかを考えながら接してあげてくださいね。
子犬が元気すぎて困る状況と対策
子犬が元気いっぱいなことはよいいことですが、興奮している状態が続くと色んな場面で困ることがあります。
大切なあなたのワンちゃんにはもちろん、周りの人や他の犬にも危害が加わる場面もあります。
どのようなことが起こりうるのか、順番に見ていきましょう。
じゃれついて噛む
犬は本来、狩りをして獲物を捕らえて生きていく動物ですので、動くものに反応するという習性があります。
人の足やリードにじゃれついて噛むので対応に困る、という方も多いのではないでしょうか。
人の足にじゃれつくときは、目の前で動き回る飼い主さんの足を獲物として見ているからです。
またリードにじゃれる場合は、興奮して気持ちが高まっていて、噛むことで発散しています。
じゃれついて噛むときの対策
つぎの手順で対応しましょう。
- 低い声で「ノー」や「いけない」など注意する
- 「おすわり」や「まて」をさせて気持ちを落ち着かせる
子犬の動きを止めてあげることで、冷静になる練習ができますよ。
リードを引っ張る
お散歩へ出かけるときに、ワンちゃんが玄関から飛び出すことを許していませんか?
ダッシュで外に出ると、車や自転車と衝突し事故を起こしてしまう危険があります。
またリードに強くテンションがかかり、首輪をつけているなら首に、ハーネスをつけているなら胸に負担がかかりやすくなります。
ワンちゃんを守るためにも、引っ張り癖がつかないようにしつけましょう。
リードを引っ張るときの対策
対策として、以下の2つがあります。
- ケージや玄関から出るとき、「まて」をさせて飛び出さないように、しつける
- 家の中でリードを付けて、飼い主さんの左側を歩かせる練習をする
子犬に「まて」をしつける方法は、下のリンク記事を参考にしてくださいね。
引っ張らないで歩く練習は、次の手順で行います。
- 右手にリードを、左手でおやつを持ち、飼い主さんの左側に来るよう誘導する
- 少し歩いてワンちゃんが横についてきたら、褒めておやつをあげる
- ワンちゃんが前に行くようであれば、リードを軽く張って制止させる
- ①~③を繰り返す
リードをつけたときは、飼い主さんより前には行ってはいけない、ということを覚えさせましょう。
飛びかかる
飛びかかった相手が子供やお年寄りだと、転倒してケガをしてしまう可能性があります。
散歩のときは犬の肉球にはたくさん泥や汚れがついているので、相手の洋服を汚してしまうかもしれません。
高額な洋服だと弁償するという事態になったら大変ですね。
さらに他の犬に飛びかかってケガをする、または相手の犬にケガをさせてしまうことも考えられますので、飛びかかる癖はつけさせないようにしましょう。
飛びかかるときの対策
相手に対してワンちゃんが飛びかかりそうになったら、「まて」と指示を出して落ち着かせましょう。
また飼い主さん自身に飛びかかろうしたときは、背中を向けて無視します。
犬に対して背中を向ける行為は、「落ち着いて」というカーミングシグナルになります。
ワンちゃんに飛びかかってもよいことがない、ということを学習してもらいましょう。
必要以上に吠える
犬の鳴き声は犬の苦情ベスト3に入り、ご近所トラブルに発展しやすい問題行動のひとつです。
特にワンちゃんが激しく何分も吠え続けてしまうと近所迷惑になり、苦情を言われやすいでしょう。
ワンちゃんとの楽しい生活を送るためにも、必要以上に吠えないようにすることは重要です。
必要以上に吠えるときの対策
主に激しく吠え続ける原因としては警戒しているとき、何かの意思表示、興奮している、不安な気持ちがあるときです。
まずは吠えている原因を探り、取り除けるものなら可能な範囲で取り除きましょう。
例えばケージがお部屋の入口にあり、なにかとワンちゃんが吠えて落ち着かないようなら、お部屋の奥の落ち着けそうな場所に移動させましょう。
外の人や車に反応している場合は、見えないようにカーテンを閉めたままにするとよいですね。
ワンちゃんが何かを要求している「要求吠え」の場合は、無視するか一度部屋を退出しましょう。
飼い主さんに相手にされないことをワンちゃんが理解できれば要求吠えもおさまりますので、吠えなくなったら部屋に戻りおもいっきり遊んであげてくださいね。
検査や診察ができない
病院に行ったときも興奮がおさまらないと、正しく検査や診察を受けられず重要な病気を見つけられないこともあります。
ワンちゃんが興奮してしまうため中々病院に行けなくなり、定期的な診察も受けにくくなってしまうかもしれません。
落ち着いて診察ができるように対策しましょう。
検査や診察ができないときの対策
興奮していると無理やり押さえつけられたりして、犬にとってはさらに嫌な記憶として残ってしまい悪循環です。
病院にはなるべく普段お世話をしている人で、犬が興奮してもしっかりと対応できる人が連れていきましょう。
診察まで無理に病院の中で待たず外で待ったり、他の犬とは距離を取ったりするなど、ワンちゃんに配慮してあげてくださいね。
ケージやキャリーバックに布を被せて、外が見えないようにすることも有効ですよ。
日頃から「おすわり」や「まて」のしつけを行い、落ち着く習慣をつけておきましょう。
子犬が元気すぎるなら落ち着くようにしつけましょう!
今回の記事では、子犬が元気すぎる理由や困ったときの対策、しつけのポイントについて解説しました。
子犬が元気すぎる理由は、社会化期でいろんなことを学ぶ時期で、見るもの触れるものが新鮮で興奮しやすいからです。
子犬が元気すぎることで起こる問題は、以下の通りです。
飛びつく | ・首や腰関節に負担がかかる ・飛びついた相手にケガをさせる恐れがある |
激しく吠え続ける | ・腹圧が強まり呼吸器や循環器、首、腰などに負担がかかる |
自分のしっぽを追ってぐるぐると走り回る | ・精神的に強いストレスがかかっている |
垂直にジャンプする | ・関節への負担がかかる |
成長期の子犬は激しい動きをすることで、体に負担がかかることがありますので気をつけてあげてくださいね。
子犬が元気すぎるときのしつけのポイントは、次の3つでした。
- 子犬を適度に遊ばせる
- 子犬が十分に休める環境を整える
- 子犬を興奮させすぎないようにする
ワンちゃんの好みや状況に応じておもちゃで遊んだり、外へ連れ出して遊ばせたりしましょう。
ケージを使って、静かに眠れるようにしてあげることも重要です。
元気すぎる子は興奮しやすいため、普段から興奮させ過ぎないように、対象のものに対して事前に避けたり徐々に慣れさせたり、ときには無視することで防げるようになりますよ。
子犬が元気すぎて困る5つのことと、その対策について解説しました。
困ること | 対策 |
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じゃれついて噛む | ・「おすわり」や「まて」をさせて気持ちを落ち着かせる |
リードを引っ張る | ・「まて」をさせて、飛び出さないようにしつける ・家の中でリードを付けて、飼い主さんの左隣を歩かせる練習をする |
飛びかかる | ・「まて」をさせて落ち着かせる ・犬に背を向けて無視する |
必要以上に吠える | ・吠えている原因を探り取り除く ・要求吠えの場合、無視するか一度部屋を退出する |
検査や診察ができない | ・普段お世話をしている人が連れて行く ・病院の外で待ったり、他の犬とは距離を取ったりする ・ケージやキャリーバックに布を被せて、外が見えないようにする |
日頃から基本的な「おすわり」や「まて」のしつけを行い、興奮してもすぐに落ち着くようにすることが重要です。
楽しく子犬と遊んで「休む」「落ち着く」ことを教えていきましょう。
ワンちゃんと飼い主さんに合った方法とペースを見つけて、実践してみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。