純日本犬の柴犬は従順なイメージがあり、日本でも海外でも人気の犬種です。
素朴だけど凛としていて、飼い主さんだけに見せてくれる愛らしい表情がかわいいですよね。
そんな柴犬ですが、オオカミに近い犬種なので野生味が強く残っており、警戒心が強い傾向にあります。
そして、その警戒心の強さによる行動が「問題行動」とされてしまうこともあるのです。
そのなかのひとつで、柴犬の飼い主さんの多くが頭を悩ませるのは「散歩を嫌がる・歩いてくれない」ではないでしょうか。
この記事では、柴犬の散歩の必要性や、散歩を嫌がるとき・歩かなくなったときすべきことについてお話ししていきます。
今回の記事でわかること
- 散歩の必要性と散歩の量
- 散歩に必要なものと首輪・リードの選び方
- 柴犬が散歩を嫌がる・歩かなくなる理由と対処法
- 散歩をするときに気をつけること
【柴犬】散歩の必要性
柴犬は、古くから山の中で獲物を追い求めかてけまわる猟犬として活躍していたため、活発で運動量の豊富な犬種です。
そのため、筋肉質で健康的な身体を保つためにしっかりと運動させてあげる必要がありますが、散歩が必要な理由はそれだけではありません。
子犬の社会性を育てたり、ストレスをためないように気分転換をしたり、犬と飼い主さんの絆を深めたりするコミュニケーションの時間として散歩は大切なのです。
初めてのお散歩はいつ始めたらいい?
では、子犬を家族に向かえたら、お散歩はいつから始めたらよいのでしょうか。
散歩を始める時期については2つの考え方があります。
- 3回のワクチン接種が終わって2週間後の16週頃
- 社会性を育てるのに適した7〜12週頃
他の犬とのふれあいや車や電車の音など、社会性を育てるために外の世界にふれさせるのはなるべく早い時期がよいとされていますが、ワクチン接種をせずに散歩をすると感染症にかかるリスクもあります。
ワンちゃんのお散歩デビューは、担当の獣医さんと相談して時期を決めましょう。
本格的なデビューの前に、抱っこで外の世界を見せてあげたり、音を聞かせてあげるのもいいですよ。
適切な散歩時間はどれくらい?
初めてワンちゃんとお散歩をする飼い主さんは、どれぐらい散歩するものなのかわからないですよね。
柴犬の散歩時間は、以下を目安としてください。
- 体重と同じ距離 *体重が6kgなら6km
- 子犬の場合は家の周りを歩くことから始めて慣らしていく
- 成犬の場合は1日1時間程度、朝と夕方など2回に分ける
- シニア犬の場合は10分程度の散歩を2〜3回
散歩のあと、ワンちゃんの様子を観察してみてください。
ウロウロしたり、ソワソワしたり、なんだか落ち着かない様子はありませんか?
そういうときは「もっと、散歩がしたいよ〜」というワンちゃんのサインです。
子犬・成犬・シニア犬では必要な散歩の量も違いますので「満足しているか」「疲れていないか」犬の様子を見て判断しましょう。
雨の日も散歩は必要なの?
雨のなかの散歩は、水はねで犬の体も汚れてしまいますし、体が濡れることで冷えて体調を崩すリスクもあります。
また、飼い主さんの負担も大きいですよね。
どしゃぶりの雨や雷の日などは特に危険なので、無理に外へ連れて行く必要はありません。
雨の日にお散歩するかどうかは、犬の様子を見て決めましょう。
- 犬が散歩好き・ストレスが溜まっている場合は雨が弱まったタイミングで散歩をする
- 雨の散歩が苦手な犬は、運動不足になったりストレスを溜めたりしないよう、家の中でしっかりと遊ぶ
雨の日のお散歩から帰ってきたら、汚れを洗い流し、しっかりと拭いてくださいね。
犬用のレインコートを着せてあげるのもおすすめですよ。
散歩に必要なものと首輪・リードについて
犬をノーリードで散歩させることは自治体の条例で禁止されているところもありますし、思わぬ事故を防ぐためにも、リードをつけて散歩させてあげましょう。
では、首輪やリードの選び方と散歩に行くときに、ぜひ用意していただきたいものをご紹介します。
首輪やリードの選び方
よく街では、犬がぐいぐいとリードを引っ張って散歩している光景を見かけませんか。
本来リードはぴんと張った状態ではなく、緩んだ状態をキープしながら飼い主さんとつかず離れずの距離で寄り添って歩くのが正しい散歩です。
犬が自由に歩き回れる伸縮するフレキシブルリードは、おすすめしません。
フレキシブルリードは、リードが巻き戻ろうとする力が常に働いているため、犬は後ろに引っ張られる感覚を受け前傾姿勢になるので引っ張り癖がつきやすいです。
「それならロックをかければいいのでは?」と考える方もいるかと思います。
しかしロックをかけると、とっさのときに犬の制御がしにくく事故につながりやすくなります。
首輪は、最も一般的なベルトタイプ、ワンタッチで装着できるバックルタイプ、引っ張ると首が絞まるトレーニング用のチョークタイプなどがありますが、大切なことはワンちゃんの首にフィットしているかどうかです。
そのことを前提に、耐久性や用途で選びましょう。
リードの素材は、革・ロープ・ナイロン・コットンなど、さまざまな種類がありますが、柴犬は力があり引っ張りぐせのある犬もいますので、強度がしっかりしていてコントロールしやすい革やロープのものがおすすめです。
本革製のものは軽くて強度があり、初めのうちは固いですが使用していくうちに飼い主さんの手に馴染むので使いやすいですよ。
では、首輪をつけるときの注意点をお伝えします。
- 首輪のサイズは、装着したときに指が2本入るくらい
- きついと苦しくてストレスになるが、ゆるいと散歩中に抜けてしまうことがある
- ハーネスは、首輪のように抜けることがなく首にかかる負担を軽減できるが、飼い主からの合図が伝わりにくいためトレーニングには向かない
初めての首輪やハーネスは、ワンちゃんが嫌がることも多いです。
お散歩デビューの前におうちで慣れさせておきましょう。
散歩に行くときの持ち物リスト
では、首輪やリード以外に散歩に行くときに必要なものをご紹介します。
- ビニール袋・・・排泄物を入れる袋
- ティッシュ・・・排泄物を拾うため
- 密閉容器・・・排泄物の臭い漏れ防止
- 水・・・犬の水分補給と排尿流し用
- ライト・・・暗くなったときに使用する
- おやつ・・・しつけや危険なものから犬の興味をそらすため
これらを入れたお散歩バッグを用意しておくと便利ですね。
柴犬あるある?散歩拒否
柴犬はもともと猟犬だったことから、警戒心や独立心が強いといわれています。
そのため過度に触れられるのを嫌がったり、餌やおもちゃなど、自分のものを守るために吠えたりすることもあります。
しつけにくい犬種ともいわれてしまう柴犬ですが、その悩みの多くは散歩中の行動にあるようです。
【散歩のお悩み】柴犬はなぜ散歩を嫌がるの?
犬は散歩が好きというイメージがありますが、なかには苦手な犬もいます。
柴犬は特に歩くのを嫌がることが多いようで、SNSでも「拒否犬」というハッシュタグで、歩くのを拒否している写真がたくさんアップされています。
なぜ柴犬は、散歩を嫌がったりその場から動かなくなったりするのでしょうか。
主な理由は以下の通りです。
- 恐怖・・・大きな音がする、知らない犬や人に対して怖い思いをした
- 疲れ・・・息が荒い場合、老犬など
- 体調・・・体調が悪い、怪我をしている
- ハーネスやリードが気に入らない・・・家から出るのを嫌がる場合
- わがまま・・・まだ帰りたくない・違うルートに行きたい
柴犬が動かなくなってしまうのは、その性格や気質によるところが大きいと考えられます。
警戒心が強い・デリケート・飽きっぽいといわれているため、知らない犬がいると嫌、音が怖くて歩けない、飽きてしまって歩くのが嫌になるということが考えられます。
また、「まだ帰りたくない」と座りこんで動かないからといって犬の行動を受け入れてしまうと、わがままな行動はひどくなっていきます。
飼い主さんがするべきこと
それでは、柴犬が散歩を嫌がったり、歩かなくなってしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。
- 抱っこをする・・・子犬やシニア犬が恐怖で歩けなくなった場合
- ルートを変える・・・人があまり通らないところや静かなところを選ぶ、気分転換させる
- 時間を減らす・・・飽きる前に散歩を終わらせる
- 犬の主張を聞き入れない・・・「帰りたくない」わがままの場合は声をかけて歩かせる
対処法をいくつか挙げてみましたが、やってはいけないこともあります。
- 無理やり引きずる・・・肉球をすりむいたり、首を痛めたりする危険がある
- 怒る・・・なぜ嫌なのか、原因に向き合わず怒るだけでは解決につながらない
- 犬の言いなりになる・・・犬がリーダーになってしまうため
ただ、これらの方法により一時的に問題行動がおさまったとしても、根本的な解決にはなりません。
飼い主さんと犬との主従関係の構築、犬の性格に合わせた「しつけ」をすることが本当の解決への道なのです。
まずは、あなたのワンちゃんが散歩中に引っ張る理由を知り、ワンちゃんにあった改善方法を見つけることが必要です。
コチラの記事がお役に立てると思いますので、ぜひ、あわせてご覧ください。
散歩をするときに気をつけること
最後に、ワンちゃんが周囲の人に迷惑をかけたり危険な目にあったりせず、楽しくお散歩するために注意していただきたいことを2つお話しします。
拾い食い
特に子犬のときは、何にでも興味を示し口に入れてしまうことがあります。
道にはごみやタバコの吸い殻、生き物の死骸など犬が食べてはいけないものが落ちていることもあるので、誤飲してしまわないように注意が必要です。
犬の鼻先が地面につかないよう、短めにリードを持ったり、拾い食いをしないようにしつけをしましょう。
犬が拾い食いをしてしまう理由や、拾い食いをさせないための方法についてはこちらの記事に詳しく書いています。
他の犬や通行人に吠える
柴犬はもともと無駄吠えが少ない犬種といわれていますが、警戒心の強さや恐怖心、縄張り意識から吠えてしまうこともあります。
散歩中に他の犬や通行人に吠えてしまうときには、おやつを与えて飼い主に注意を向けさせたり、コースを変えたりするといいですね。
社会性が育っていないと必要以上に怖がって吠えるようになってしまうので、子犬のうちにいろいろ経験をさせて社会性を育ててあげるのが理想です。
すでに成犬になっていても、時間をかけて慣らしてあげれば大丈夫です。
ワンちゃんの無駄吠えにも悩んでいるのでしたら、ぜひこちらの記事もご覧くださいね。
柴犬と楽しくお散歩しよう
今回は、柴犬の散歩についてお伝えしました。
今回の記事でわかったこと
- 散歩は「飼い主さんとのコミュニケーション」と「社会性を育む」ために必要なこと
- リードは軽くて丈夫なもの、首輪は犬の首にフィットするものを選ぶ
- 柴犬は、警戒心の強さによる行動が問題行動とされることもある
- 散歩では「拾い食い・無駄吠え」の対処をしっかりとする
柴犬は猟犬として活躍していたため、活発で運動量が多く毎日の散歩が欠かせません。
お散歩を嫌がっている姿は傍から見ればかわいいですが、散歩のたびに座りこまれては飼い主さんも大変です。
運動量が不足していないか、ストレスになっていないか心配にもなりますね。
柴犬が散歩を嫌がることが多いのは性格や気質に関係しているとはいえ、その理由はワンちゃんによってさまざまですので、原因を探って対処する必要があります。
いろいろ試してみたけどどうしても直らない場合は、犬の社会性が育っているか、主従関係が築けているか、しつけがきちんとできているかを見直すことも大切です。
あなたもワンちゃんも、楽しんで散歩ができるようになるといいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!